「音咲か爺さん」Vol.1

「音咲か爺さん」いよいよ本領発揮の巻(港区I様宅・導入記)


2009年8月20日(木):

何回かお店に試聴にお出でいただいた港区のI様は、現役の物理学専攻の大学生さんである。

幼少時より、ピアノに勤しんだというだけあり、たいへんな音楽愛好家であり、オーケストラ演奏会やライヴ演奏会に足繁く、通われている。当然、生演奏での楽器の音が身に染んで、分かっていらっしゃるお客様である。
そのI様のお眼鏡に適って、ミューズハート・スピーカー「S-2GSX」とLars&Ivanのハイブリッド・プリメインアンプ「PA-40Ti-MHT(ホワイト)」をお買い上げいただいたので、自ら担いで、夕方4時にセッティングに伺った。ご自宅は、鉄筋3階建ての瀟酒な建物である。1階は、ガレージとグランドピアノが置かれている音楽室兼オーディオルーム(こちらにはアナログプレーヤーとプリメインアンプと3ウェイのスピーカーシステムが設置されている)で、今回のシステムは2階のリビングルーム(約25畳と広い)の長手方向の正面が設置場所である(写真参照のこと)。1階から3階までは、吹き抜けの階段になっており、音響的にも恵まれている上に、I様のお母様が、自らデザインされた広いリビングルームは、天井も高く、さらに中央部分はドーム状になっている、音の響きのたいへん美しいお部屋である。既に、お手持ちのCDプレーヤー、パイオニアのPD-D6とお買い上げいただいたS-2GSXとPA-40Ti-MHTをそれぞれ既存のラックとSPスタンドに設置し、結線し、早速音出しした。 試聴に使ったCDは、いつものジーナ・ロドウィックのGetting to know youである。

ところが出て来た音は、何かが違う。 いつもの音の粒が空気中にはらはらとこぼれ出す明るい音ではなく、くぐもった暗い音なのである。
これはCDプレーヤーのPD-D6が原因と一聴して分かる。I様に了解を得て、早速ミューズハート・チューニングを施すことにした。天板を外し、業務用fo.Qによる徹底した振動モードの調整である。

再度、結線し直して、試聴開始。

うーん、この音なら合格だ。ジーナの誠実な甘い歌声とバックの切れのあるパーカッション演奏が見事に絡み合い、再現されている。
さらに、両手の指を使った筐体の触診と聴覚による不要な振動を洗い出し、fo.Qによる対策である。 私は、これを最近、「カオス振動」から「楽器的共鳴」への移行施術と呼んでいる。「カオス振動」とは学術用語で、文字通りあらゆる物体に起こる「混沌の振動」である。おそらく現代のコンピューター技術や測定技術を持ってしても、解析不能な振動である。これを筐体の触診と聴覚の連動により、不要な振動ポイントを特定して行き、fo.Qを適量、貼ることにより、ひとつづつ除外してゆく、やり方である。 音咲か爺さん的に言うと「ここ掘れワンワン!」ならぬ「ここ貼れfo.Q fo.Q!」というわけである。 そうすると不思議なことに「大判、小判」ならぬ「宝の音が ザック ザック ザックザク」と溢れ出すのだ。  もちろん、この間I様には、ずっと立ち会っていただき、その音の変化を逐一、確認していただいている。
セッティング開始から、3時間半あまり。チューニング料2万円+インシュレーター等部材費約1万円の合計3万円の料金である。途中からは、お母様、お父様も参加していただき、一様に、音質の変化を確認していただき、その音の良さに感動していただいた。 音咲か爺さん的にも、大満足の成果である。というより、我ながら、ミューズハート・スピーカーがこれほど良い音で、音楽を再生するとは思わなかったのである。やはり、部屋の環境が良いということは、何よりも重要で素晴らしいことなのだと再確認した次第である。 I様に最寄りの駅まで、お見送りいただき、途中の公園で一服した煙草の味が、格別美味しかったことは言うまでもない。

その後、9月7日にI様からお手紙をいただいた。

まさに、製作者冥利に尽きるお言葉であり、第三者の客観的な評価として、ご紹介 させていただいて、この巻きの終わりとしょう。

音咲か爺さん、こと広瀬勝治記す。(2009年9月13日)